SDGsを採用活動に活かすと良いことばかり!採用活動にもたらすメリットと事例3選
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持続可能な開発目標として取り組みが進められているSDGsですが、採用にも関係があることはご存じでしょうか。
今回は一見関係のないように思えるSGDsが採用とどう結びついているのかについて、求人広告代理店で7年以上勤務していた経験をもとに解説していきます。
会社のイメージアップにもつながりますので人事・採用担当の皆様だけではなく、経営企画など他部署を巻き込んで取り組んでいけると大きな効果をもたらすでしょう。
- SDGsとはなにか?
- SDGsの中で採用活動に関係する目標
- SDGsを推進するメリット
- SDGsを推進している事例3社
- まとめ
SDGsとはなにか?
はじめにSDGs(Sustainable Development Goals)について解説します。
外務省が発表している資料によると『「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標』であると示しています。
ポイントは
- 世界の貧困や技術格差を踏まえた上で全人類を救える社会を実現させること
- 持続可能であること
以上、2点です。
2015年の国連サミットにおいて、全会一致の採択がおりている最重要の取り組みです。
具体的な内容として下記の17の目標が策定されています。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤を作ろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
引用元:持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202108.pdf
推進されているSDGs
日本企業は政府主導のもと作成された8つのアクションプランに沿って、課題解決のために取り組みを推進していく必要があります。
毎年17の目標に対しての達成進捗を踏まえ、世界ランキングが発表されており、2022年の日本は世界19位でした。
自国の立ち位置はランキングを通して確認することができ、順位をあげることができれば各国へ取り組みをアピールすることができます。
また企業としてもSDGsを進めることは重要事項です。
例えばテレビCMなどでも環境に寄り添った内容が増えていたり、雑誌や広告でSDGsというワードを耳にしたりすることが増えています。
今はまだ大企業が率先して推進している状態ではありますが、徐々に中小企業にも浸透していく取り組みとなります。
引用元:Sustainable Development Report 2022 Japan
SDGsに注目するZ世代
Z世代とは1996〜2010年生まれの子どもたちを示しています。
2022年現在は11歳〜25歳の人材となります。
Z世代の特徴としては、物心ついた時からIT・テクノロジーが存在していることが当たり前であり、スマートフォンやSNSに囲まれて生活してきた世代です。
分からないことがあっても自分で調べられるため、物事を知っていることより正しい情報を取捨選択する力が重視されています。
SDGsの情報にも慣れており興味・関心が強いことも特徴です。
災害現場の映像をテレビを通してリアルタイムで見たり、実際の被害者の声や発信をSNSを通して目にしたりする機会が多い世代になります。
遠い世界の出来事ではなく身近な問題のように当事者意識を持ち、今後自分たちが住んでいく環境を守らないといけないと考える人材も多いです。
SDGsの取り組みを進めている企業であれば、Z世代からの興味・共感を得るきっかけとなるでしょう。
SDGsと採用の関係性
ここまでSDGsそのものについてや、若手人材が興味を持っていることについて説明してきましたが、採用との関係性についても解説していきます。
採用活動を行う際に重視することとして、ターゲットのペルソナに合わせたアピールが必要になります。
例えば近所でパートをしたいと考えている主婦(主夫)を採用したければ
・週1日から始められる
・ブランクOK
などがアピールポイントになります。
上記のような働きやすい環境づくりは、SDGsにおけるジェンダー平等にあたるでしょう。
世界で注目を集めているSDGsについて具体的に取り組んでいることは、優秀な若手人材を獲得するための大きなアピールポイントになります。
SDGsの中で採用活動に関係する目標
SDGsには17の目標があると説明しましたが、採用活動に関係する目標を4つ紹介します。
目標3:すべての人に健康と福祉を
すべてのスタッフが健康的に勤務し続けるには企業からのサポートは欠かせません。
この目標で求められることは、心身ともに健康的であるためにできる取り組みや、介護・福祉事業への企画・参入などです。
健康維持のために社内にスポーツジムを併設したり、有給休暇の取得率に注目したり、健康診断や人間ドッグの費用負担をしたりといった活動がこの目標にあたります。
身体が健康なだけではいけません。過剰労働によって、身体だけでなく心も壊すことがないよう努めることも企業の大切な仕事と言えるでしょう。具体的にはカウンセラーの導入や公正な判断ができる社内部署の設置といったメンタルケアに対する取り組みを推進している企業が評価されます。
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
前段でも触れたように男女が平等に活躍できる社会を作るために、性別による差がある組織ではいけません。
LGBTの人々も違和感なく過ごせる会社であること、育児休暇の取得を男女平等にできる環境であることなども該当します。
女性管理職の割合を数値化した目標にしている会社や、セクハラの撲滅について社内発信するなどの取り組みを推進している会社も目標に準じていると言えます。
風土そのものを改革する場合は定性的になりやすいため、数値目標と環境改善の定性目標の2つを定めるようにしましょう。
具体的な例としては
- 女性管理職 30%
- セクハラ防止のポスター掲示と風紀委員の設立
などやることと目指すべき目標を決めていけば社内でも発信しやすくなります。
目標8:働きがいも経済成長も
働きがい・やりがいを増やすことは人事評価部門を整えることにつながります。
いくら頑張って勤務しても適切な評価を得ることができなければ、社員のモチベーションは下がってしまいます。
自分のため・会社のためにイキイキと働く社員を増やすためには、人事部門の設立や評価制度の作成・見直しが重要です。
年功序列ではなく成果に見合った給与を設定しましょう。
また内勤のように明確な評価査定がしにくい部署であっても、仕事の幅や上司の目標設定により能力に見合った評価ができる環境を目指す必要があります。
こうした取り組みを推進している企業は成長につながり、成果を生み出すことができる組織になります。
目標10:人や国の不平等をなくそう
最後は人や国の違いで格差が生まれないようにする取り組みです。
例えば、同じ業務に携わっているのに役職・給料の格差が生まれたり外国人労働者への待遇が異なったりすることを差します。
一律の評価基準を設けて平等に判断していきましょう。
日本企業では、社員数に対して一定の障がい者雇用をすることが定められています。
引用元:厚生労働省 障害者雇用のルール
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html
どんな人であっても活躍する場を平等に与えていくという考え方が大切です。
SDGsを推進するメリット
SDGsを企業が推進するメリットについて4つ紹介します。
1.企業のブランディングにつながる
1つ目のメリットは企業のブランディングになるという点です。
企業がSDGsに対して推進したり投資したりすることは、社会貢献性の高い会社であるというアピールとなります。
環境・貧困・平等など世界で起こっている様々な課題に対し、責任感をもって取り組むことができれば、企業のイメージアップにつながるということです。
また企業ブランディングがうまくいけば、ビジネスチャンスが生まれます。
社会的信頼性の高い企業には新規ビジネスが集まり、能力の高い人材も集めやすくなるという良いサイクルが発生するでしょう。
2.モチベーション向上につながる
2つ目のメリットは社員のモチベーションアップにつながるという点です。
SDGsの目標の中に、ジェンダー平等や人や国の不平等の撤廃があります。
不当な評価や男女格差が無くなれば、誰でも能力次第で評価を受けられるようになります。
また健康面のサポートや福利厚生面の充実で、心身共に健康的に働くことができるようになることも大きなメリットです。
SDGsの目標に沿って働きやすい環境を整えることで、社員のモチベーションは向上していくでしょう。
3.採用ターゲット拡大につながる
3つ目のメリットは採用ターゲットの拡大です。
コロナ禍を機に求職者はSDGsへの興味・関心を持っています。
国内最速級のリサーチPR『リサピー®️』が行ったアンケート調査では「転職先企業を選ぶ上で重視する点はなんですか?」という質問に対し、約4人に1人の28%が「SDGsに対する姿勢や取り組み」と回答しています。
SDGsを推進していくことは、こうした関心を持っている求職者へアプローチしやすくなり、結果的に求めるスキル以上の人材との出会いにつながります。
引用元:【4人に1人】転職検討者が企業選定軸に「SDGsへの姿勢・取り組み」を重視 「コロナ禍で持続可能なビジネスモデルの必要性を実感した(63.0%)」〜リサピー®️、「転職検討者の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査を実施〜
https://research-pr.jp/posts/na-220317-a
4.採用コストカットにつながる
4つ目のメリットは採用コストの削減に寄与する可能性がある点です。
SDGsの取り組みは、社会的価値の高い内容なので、メディアやSNSなどでPRすることができます。
会社の取り組みに共感・理解した応募者は採用につながりやすい傾向にあるようです。
これまで、求人広告を掲載したり人材紹介を使ったりしていた企業にとって、大幅な費用削減になるでしょう。
SDGsを推進している事例3社
SDGsを推進している事例として3社をピックアップして紹介していきます。
SDGs自体が採用活動のために行うものではないため、活動事例にはなりますが採用説明会などで学生に強くアピールできるものばかりです。
事例1.アート引越センター(アートコーポレーション株式会社)
1社目は引っ越しサービスのアート引越センターです。
引っ越しの際に段ボールやガムテープなどのゴミが出るのを減らすために、紙資源で止める必要のない「エコ楽BOX」を開発しました。
使用済み段ボールは回収して再利用したり、従業員にエコバックを配布したりすることでゴミの削減に寄与しています。
また働き方の面では、業界初の毎週火曜日または水曜日の「定休日」を設けました。
他にも女性活躍のための取り組みや、子育てサポート企業に認定される「くるみん」の取得など、ダイバーシティな働き方のために多くのプロジェクトを推進しています。
引用元:アートグループのSDGs
https://www.the0123.com/company/sdgs.html
事例2.大和ハウス工業株式会社
2社目は大和ハウス工業株式会社です。
ダイワハウスグループでは、不動産や物流、医療介護など幅広い事業を展開しています。
- 超高齢化社会に備えた医療施設・介護施設の整備
- 女性も活躍しやすい職場づくりの推進
- 子育て支援の一環として「家事のシェアハウス」
- スポーツクラブNAS
孤立する人をつくらないプログラムや、独自の子育て支援などダイワハウスグループならではの取り組みも多くあります。
採用関連以外でも農業支援プロジェクトや最先端の物流倉庫の開発など、人々の生活水準を高めつつ環境や人に優しい社会づくりに大きく貢献している企業です。
引用元:ダイワハウスグループのSDGs
https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/sdgs/
事例3.日本コカ・コーラ株式会社
3社目は炭酸飲料が有名な日本コカ・コーラ株式会社です。
こちらの会社では、大きく分けて3つの方針に取り組んでいます。
- 多様性の尊重
- 地域社会への貢献
- 資源の活用
なかでもゴミの削減には注力しており、ペットボトル製品の軽量化やラベルレス化などを進めています。
具体的には、2030年までにすべてのペットボトル製品を100%サスティナブル素材に切り替え、さらに回収・リサイクル100%の達成を目指して取り組んでいるようです。
社会からは、ゴミの削減や水資源の活用という資源活動が注目されやすい企業ではありますが、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みも行っています。
- 女性管理職 比率50%
- 男性の育児休暇取得率 100%
- 30代の管理職比率 15%
- 有給休暇取得 80%
上記のような多様な年齢の社員が活躍できるような職場づくりを推進しています。
採用ホームページでも働く環境を強くアピールしており、人材獲得に力を入れていることが窺えます。
引用元:日本のコカ・コーラシステムのサスティナビリティー
引用元:コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社 採用情報
https://www.cocacola.co.jp/sustainability
https://ccbjbs.ccbji.co.jp/recruit/
まとめ
以上がSDGsと採用活動の関係性になります。
今後ますます耳にすることが増えるSDGsですが、「20代の新入社員の方が詳しい」なんてことにならないように普段から興味・関心を持つことが重要です。
メリットも多く、社会貢献性も高い取り組みですので社員のモチベーションアップや企業ブランディングのためにも積極的に取り入れていきましょう。
この記事を書いた人