深刻なエンジニア不足、将来は79万人足りなくなる?

近年、エンジニア不足が大きな問題になっています。IT業界に身を置くなら、これを肌で感じている担当者も多いのではないでしょうか?

本記事ではエンジニア不足の現状と原因、現段階で企業ができることを解説します。

深刻なエンジニア不足の現状と将来

最初にエンジニア不足の問題が、どの程度深刻なのか理解しましょう。

2022年時点で相当なエンジニア不足
・2030年には79万人不足するかもしれない
・特に先端IT人材は不足しがち

ポイントは上記3点です。

それぞれに公的データを用いてお話ししますのでご参考にしてください。

現時点相当なエンジニア不足

経済産業省の発表によれば、2018年時点で22万人ものエンジニアが不足しています。

この時点で問題の深刻さがうかがえますね。

またエンジニアに対する有効求人倍率は7倍。エンジニア1人あたり7つの案件が存在します。言い換えれば7社で1名を奪い合っている状態です。

また厚生労働省によれば022年6月時点で、日本全体での有効求人倍率は1.27倍。その数字と比較すれば、いかにエンジニアが足りていないか見えてくるでしょう。

2030年には79万人不足するかもしれない

経済産業省が発表している『IT人材需給に関する調査』では2030年には79万人のエンジニアが不足すると記載されています。つまり不足の問題は、今後も拡大し続ける可能性があるということです。

IT技術や市場の発展スピードとエンジニア育成がまったく噛み合っていません。

日本ではSTEM教育を取り入れてエンジニア(プログラミング)の増加に力を入れています。

ただ、79万人の不足を埋め合わせできるとは考えづらいのが現状です。多少数字にブレはあっても、大幅なエンジニア不足が起こるのは避けられない問題でしょう。

特に先端IT人材は不足しがち

今後において心配されるのは先端IT人材の不足です。

エンジニアは従来型、先端型に分けられますが、特に不足しているのは後者です。

そして経済産業省やみずほグループの発表によれば、2022年時点で先端IT人材が120,032名不足し、このまま少しずつ増えていくとのこと。

企業は先端IT人材の確保にはより注力する必要があります。自社でも従来型のエンジニアに対して先鋭的なITスキルを教育するなどの努力も求められるでしょう。


<その他参考URL>

「2030年には79万人の不足」IT人材不足の背景・エンジニアの将来性について解説 | テックキャンプ ブログ (tech-camp.in)

エンジニア不足が起こってしまった理由

エンジニア不足が起こった理由は複数ありますが、主要な原因として以下があります。

・IT技術の異常成長
・市場拡大
・少子高齢化
・IT業界に対する「激務」のイメージ

この4つがエンジニアが不足した状態を作り出しています。

IT技術の異常成長

エンジニア不足が起こってしまった最大の理由はIT技術の異常な早さでの成長です。ここ数年でビッグデータやAIなどの新しい技術が次々に登場しました。

世界中で急速にニーズが高まり、それをオペレーションすることが求められています。

個人の暮らしを見渡しても、iPhoneやAndroidが普及していることが分かります。つまりアプリケーションやサービス、サーバーやクラウドなどに対してより多くの開発者・保守者が必要となりました。

このようにIT技術が異常な速度で成長して需要が増えたことで、エンジニア不足が引き起こされています。

市場拡大

市場が拡大を続けているのも、エンジニア不足の原因。

IT業界は2015年からずっと右肩上がりに成長しています。一方でそれ相応にエンジニアの数が増えているかといえばそうではありません。

需要が増加する一方で供給が追いつかないのでエンジニアが不足するのはある意味で当然のことです。

今後はビッグデータやAI、5Gなどの新技術が次々に台頭するでしょう。そうなると今後はさらなる市場拡大が起こり、エンジニアの供給数との乖離はより大きくなります。

この現象は国家単位で人材開発するなどの大きなアクションがあるか、もしくは技術的な発展が落ち着くまで長らく続く問題となるでしょう。

少子高齢化

少子高齢化が進んだのも、エンジニア不足が起こった理由のひとつ。そもそもエンジニアを志望する若い人材の絶対数が減っていて、今後もその傾向は続くと予測されています。

近年は30代〜40代くらいのエンジニアも減少。50代以上のシニアディレクター層が若い世代の不足を何とかして穴を埋めるケースも少なく無いでしょう。

特に自社とマッチ率の高い、優秀な新人エンジニアを確保するのは難しいミッションになりつつあります。

今後も少子高齢化は進行すると見られます。

そうすると「新卒から先端IT技術者を確保する」のはより厳しくなるでしょう。


<その他参考URL>

拡大し続ける日本のエンジニア不足|IT業界の実情と今後の対策 | サンウェル【横浜】|外国籍/日本人エンジニア紹介・派遣 (sunwells.com)

IT業界に対する「激務」のイメージ

IT業界に対する「激務」のイメージも、エンジニア不足を引き起こした一因です。いわゆる「ブラックな業界」としての一面が目立っています。

具体例として以下が挙げられるでしょう。

・残業や休日出勤が当たり前に存在する
・プロジェクト開発の納期直前は、徹夜で作業する「デスマーチ」が存在する
・顧客が無理難題を投げつけてくるので、幾度となく修正を余儀なくされる
・「キツい」「厳しい」「帰れない」3Kの条件が揃っている

残念なことに激務へのイメージはある程度事実。実際に労働基準法違反にまで発展して社会問題となったケースもあります。

すべてのIT企業がブラックなわけではありません。しかし学生や転職者からして見れば内情は見えづらいもの。

その点を踏まえて「ブラックである可能性も踏まえて、避けておこう」と判断されるケースが多々あります。

エンジニア不足を解決するために企業側ができること

残念ながらエンジニアが不足する環境は変えられません。とはいえ企業側にもできることはあります。

・エンジニアを社内で育成する
・フレキシブルな働き方に対応する
・海外から人材を確保する

こういった取り組みで、エンジニア不足の影響を乗り越えられる可能性があります。

エンジニアを社内で育成する

エンジニア不足を解決する方法として「社内で育成する」方法が考えられます。今後エンジニアの絶対数が少なくなり、採用活動は難航するでしょう。特にその中から優秀な人材を見つけることには相当なリソース・コストがかかります。

しかしエンジニアを社内で育成すれば、少なくとも市場での直接の競争を多少避けることが可能です。また自社にフィットしたエンジニアを育てられる側面もあります。

フレキシブルな働き方に対応する

エンジニア不足を解決するなら、フレキシブルな働き方にも対応しましょう。

近年ではコロナ禍や働き方改革などの影響で、在宅勤務をはじめとする新しい勤務形態が見られるようになりました。従来でもフレックスタイムなどが幅広く導入されています。

勤務時間や形態を縛らず柔軟な働き方に対応し間口を広げれば人材は確保しやすくなります。それは自社でのエンジニア不足の解消につながるでしょう。


<その他参考URL>

IT業界の人手不足はウソ?噂の理由や今後求められるエンジニアになる方法まで | イーデス (a-tm.co.jp)

海外から人材を確保する

海外から人材を確保するのもひとつの方法です。近年ではインドやベトナム出身のエンジニアが増え、それを採用する企業が増えています。

彼らを人材として確保すれば、エンジニア不足の影響も和らぐでしょう。

ただし問題となるのは、言語や文化、そして価値観の違いのすり合わせです。諸外国と日本ではあらゆる面で違いがあり、それはビジネス面でも顕在化します。

いかに海外人材が日本(自社)を理解し、そして自社がどれだけ海外文化を受け入れられるかがポイントとなるでしょう。

まとめ:エンジニア不足は避けられない中、何をするべきかが重要

本記事ではエンジニアの不足の現状やその深刻さを解説しました。ポイントをおさらいしましょう。

  • 2018年時点ですでに22万人のエンジニアが不足
  • 経済産業省は2030年には79万人不足すると予測
  • 特に先端IT人材の不足は心配
  • エンジニア不足の原因はIT技術の異常成長や市場拡大、少子高齢化など
  • 業界への「ブラック」なイメージも関係
  • しかし企業側でも育成の内製化など、対策できることはある

IT技術と市場が躍進を遂げる陰で、日本ではエンジニア不足の問題が徐々に顕在化しつつあります。自社でこの課題をどうクリアするか考え、対策を実施する必要があるでしょう。


≪参考・参照URLまとめ≫

エンジニア不足が加速する日本|現状と原因、対処法をくわしく解説 | GALK (galk-jp.com)

プログラマー人材不足の原因と採用における有効な対策とは? (sint.co.jp)

IT人材不足による影響とは【背景とその解決策について解説します】|グローバル採用ナビ (global-saiyou.com)

“IT人材需給に関する調査” houkokusyo.pdf (meti.go.jp)|経済産業省

“エンジニア転職市場の有効求人倍率は約7倍––激化する技術者採用のいま―”|ログミーTech (logmi.jp)

一般職業紹介状況(令和4年6月分)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

「2030年には79万人の不足」IT人材不足の背景・エンジニアの将来性について解説 | テックキャンプ ブログ (tech-camp.in)

国内企業のIT投資に関する調査を実施(2019年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp)

“拡大し続ける日本のエンジニア不足|IT業界の実情と今後の対策” | サンウェル【横浜】|外国籍/日本人エンジニア紹介・派遣 (sunwells.com)

IT業界の人手不足はウソ?噂の理由や今後求められるエンジニアになる方法まで | イーデス (a-tm.co.jp)

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小松

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