健康経営とは?社員のヘルス管理に取り組み安定した経営を
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・「健康経営」とはなんだろうか?
・なぜこの経営方法が推進されているのだろうか?
・健康経営によりどのようなメリットがあるのだろうか?
上記の疑問を持っている経営層は多いでしょう。
近年では少子高齢化などの影響により、労働者の減少や生産性の低下が問題視されるようになりました。健康経営はこれら問題を解決して労働力の向上、もしくは業績向上を図る戦略です。
本記事ではこの健康経営について詳しく解説するので、ぜひご参考ください。
健康経営とは?社員のヘルス管理の取り組みやメリット、導入方法について
健康経営について、以下の点を解説します。
- 健康経営の目的
- 政府による健康経営の推進内容
- 健康経営が推進される理由
- 社員の健康管理を高める具体的な施策
- 健康経営が実現した場合のメリット、できなかったケースでのデメリット
- 取り組みが必要な企業の特徴
まずは健康経営が何であり、どのような背景で注目されているのか理解しましょう。
そして実現した場合のメリットやデメリット、取り組みが必要なケースを解説します。
健康経営=従業員の健康管理で企業の生産性を高める手法
健康経営とは「従業員の健康管理を企業のタスクとして捉えて、組織的に取り組む手法」を意味します。わかりやすく言えば会社が従業員のヘルスケアを管理することです。
具体的な取り組みとして定期検診やメンタルヘルス対策、ワークライフバランスへの配慮などが挙げられます。これら施策によって従業員のヘルスケアを実施し、最終的には労働生産性の向上や離職率低下を目指すのが健康経営です。
政府による健康経営の推進について
現在は政府が主体となり、健康経営が日本でも普及するように推進されています。
平成26年より経済産業省は、東証一部上場企業の中でもすぐれた健康経営を実施する企業を「健康経営銘柄」として評定。
さらに平成28年度からは上場企業以外も対象に「健康経営優良法人」を選定。大企業と中小企業ふたつのカテゴリーに分けて顕彰しています。
大企業のカテゴリにおける上位500社は「ホワイト500」、中小企業の場合は「ブライト500」として認定される仕組みです。
政府および経済産業省が上記の取り組みをおこなうのは、健康経営を実践する企業を周知すること。そしてその事実が社会的に高く評価される環境を作り、全国の企業がこぞって健康経営を目指すように促進するという狙いがあります。
参考文献:経済産業省-健康経営
健康経営が推進されるようになった背景
健康経営が求められるようになった背景として労働人口の減少が挙げられます。総務省が発表した労働力調査(令和3年)によれば、2020年の平均労働人口はおよそ6868万人。ところが翌2021年はおよそ6860万人と、前年度約8万人も減少しています。
実は労働人口の減少傾向は2019年から認められており、いかに健康的な働き手を確保するかが国家および企業の長期的な課題となっているわけです。
従来、日本におけるヘルスケアは大部分が従業員個人に委ねられていました。しかしそれでは適切な健康管理が成り立たず、労働人口の減少をまねく一因となっていたのです。
その問題を解決するため、企業が組織的かつ適切に従業員の心身を健康に保つ健康経営が推進されるようになりました。
参考文献:労働力調査 -総務省統計局
健康経営を目指すメリット
健康経営を目指すメリットは数多く存在しますが、もっとも重要なのは生産性の向上です。心身の健康を管理することでパフォーマンスを高め、より短い時間で多くの成果を挙げられるようになります。
また従業員エンゲージメントの改善や定着率の向上も重要です。適切なヘルスケアは従業員帰属意識を深め、企業との間に強い信頼関係を作る一因となります。
さらに離職者が減ることで業務に慣れた従業員が増加し、採用や教育にかかる費用をおさえることも可能です。
上記のように健康経営がもたらすメリットは非常に大きいもの。政府の主導に耳を傾け、自社でも検討する価値は十分にあると言えるでしょう。
社員の健康管理をおろそかにした場合のデメリット
一方で社員の健康管理をおろそかにした場合、以下のようなデメリットが考えられます。
- 離職率の向上
- 企業に対する評価の低下
- 医療費の増大
- 業績不振
- オペレーション上のミス
- 自殺・事故のリスク
- 採用活動への悪影響
特に懸念されるのは自殺や事故のリスク。例えば過労を苦にして死を選んだ、などということがあれば企業に与えるダメージは計り知れません。
また離職率の向上や企業に対する評価の低下なども心配されます。顧客からの評判はもちろんのこと、採用活動への影響も考えられるでしょう。
そしてこれらの要因が、売り上げの低下や損失の発生を招きうるのは言うまでもありません。
健康経営に取り組む必要のある企業の特徴
健康経営に取り組む必要のある企業の特徴として、以下が挙げられます。
✔老齢化が進んでいる
✔ストレスチェックの結果が振るわない
✔離職率や休職率が高い
✔一般的に激務だとされている
✔労働時間が長い
健康経営の必要性を判断する明確な基準は、特に存在しません。しかし上記に多く当てはまるなら、少なくとも健康管理の取り組みが十分だとは言えないでしょう。
すべての問題をクリアにするのは現実的ではないかもしれません。とはいえ1つずつでも解決できるように動けば、健康経営に近づけることが可能です。
同業界や業種と比較して特別に問題がある部分を優先的に改善していきましょう。少しずつ、自社に対してポジティブな効果が現れるはずです。
健康経営におけるユニークな事例:株式会社ZOZO
健康経営を実現するうえでは時として型にはまらない柔軟な取り組みが求められます。過去にはユニークな事例もあり、これらを参照すれば自社でも突破口を見つけられるかもしれません。
例えば株式会社ZOZOでは「ろくじろう」という施策が活用された経緯があります。これは「通常は午後6時終業だが、業務を終えていれば午後3時に退勤してもかまわない」というルールづけです。
もちろん午後3時に退勤したとしても給与は全額支給されます。
「ろくじろう」によって、同社は短時間での勤務を実現しワークライフバランスを高く保つことに成功しました。従業員には6時間以内に業務を完遂する意識が芽生え、労働生産性も向上しています。
参考文献:東洋経済オンライン-「当たり前を疑う。」1日6時間労働導入の狙い。
まとめ:政府の主張に耳を傾け健康経営の検討を
健康経営とは、社員一人ひとりの心身の健康を管理する取り組みを意味します。目的は生産性や人材確保の点にあり、国家だけではなく企業視点から見ても重要な施策です。
少子高齢化による人材難のなかで、健康経営で一人ひとりの従業員を大切にすることは、今後においても1つのポイントとなるでしょう。
そのほか従業員満足度や企業ブランディング、あるいは医療費の削減といったメリットにもつながります。
ぜひ政府の主張に耳を傾け、健康経営の実現について検討しましょう。
この記事を書いた人
小松
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